米国商務省は2026年6月13日(現地時間)、生成AIモデル「Fable 5」および「Mythos 5」を米国の輸出管理規制の対象に指定した。同規制により、両モデルへのアクセスは、米国内にいる外国籍のAnthropic従業員を含む全ての「外国籍個人」に対して遮断される。Anthropicはこの措置を受け、顧客向けの「Fable 5」および「Mythos 5」の提供を一時的に停止したと発表した。
米国商務省のハワード・ルトニック (Howard Lutnick) 商務長官からの書簡によると、この措置はAmazonが特定した限定的な「jailbreak」(モデルの安全対策を迂回する手法)への対応とされている。Anthropicは、現時点で市民権を確認する手段がないため、両モデルの提供を完全に停止せざるを得なかったとしている。同社は他のAnthropicモデルへのアクセスには影響がないと説明した。
Anthropicは、米国政府からの指令を2026年6月13日午後5時21分 (ET) に受領したと述べた。指令書には国家安全保障上の懸念に関する具体的な詳細は提供されなかったという。同社の理解では、政府が「Fable 5」のjailbreak手法を認識したことが根拠であるとしている。
Anthropicは、この特定の技術のデモンストレーションを確認したが、それによって特定された脆弱性は既存のモデルでも発見可能な軽微なものであり、迂回を必要としないと説明した。同社は、「Fable 5」の発売に際して、米国政府、英国AI安全研究所 (UK AISI)、および複数の第三者組織と協力し、数千時間にわたるレッドチームテストを実施した結果、安全対策は過去に展開されたどのモデルよりも効果的であると報告している。また、あらゆるモデルプロバイダーにとって「完璧なjailbreak耐性」は現時点では不可能である可能性があり、Anthropicはdefense in depth(多層防御)戦略を採用していると述べた。
Anthropicは、この政府の措置は「誤解」によるものであり、透明性、公平性、明確性、および技術的事実に基づいた、政府が安全でない展開を阻止する能力を持つべきという原則に反すると見解を示した。同社は顧客への混乱を謝罪し、できるだけ早くアクセスを復元するよう取り組んでいるとしている。
業界関係者からは、この措置の妥当性について疑問の声が上がっている。Dean W. Ball氏はこの措置が「漫画的」であり、jailbreakや多層防御の仕組みに関する理解不足に基づいていると指摘した。また、「GPT-5.5」も同様の脆弱性を発見できる可能性があり、この基準が業界全体に適用されれば、フロンティアモデルプロバイダーによる新規モデル展開が実質的に停止する可能性があるとの見方も示されている。
参考: Don’t Worry About the Vase (Zvi) — 2026年6月14日 04:37 (JST)
原文ハイライト"No good policy gets announced shortly after 5pm eastern on a Friday."