Polimillは2026年8月30日(現地時間)、OpenAIの技術を用いて日本の自治体向け次世代公共AIインフラ「QommonsAI」を構築したと発表した。QommonsAIは、約1,050の自治体と約550,000人の公務員に利用されており、議会答弁、公共サービス、社会福祉、法務検索などの領域で専門的なAI機能を提供している。同社はこのプラットフォームを、日本の自治体業務を支える公共OSとして進化させることを目指している。

Polimillが開発したQommonsAIは、2024年10月にリリースされた生成AIプラットフォームであり、当初は公務員の生産性向上ツールとして導入された。同社は、自治体業務における構造的な課題として、日々の業務に追われる中で市民の声を政策に反映させる時間的余裕が少ない点に着目し、政府業務の効率化を目的としてQommonsAIを開発した。

システム構築における主要な課題の一つは、自治体ごとに異なるワークフローや文書形式によりデータが断片化していることだった。Polimillは、全国の議事録などを収集し標準化した上で、AIを用いてメタデータを付与し、自治体間や期間を超えて機能する高精度の検索基盤を構築した。この構造は、議会分野に加えて福祉や法務など他の行政領域にも拡張されている。

QommonsAIの中核にはOpenAIのGPTモデルが採用されている。公共部門では情報管理と監査対応が不可欠であり、QommonsAIには機能利用履歴の確認や組織ポリシーに応じたモデル利用制限を行う運用管理機能が実装されている。PolimillのCAIOである若林正宏氏 (Masahiro Wakabayashi) は、GPTモデルの幅広い能力とChatGPTの認知度が、新たなツールの導入障壁を低減する主要な要因であると指摘している。

また、Polimillの開発プロセスにはOpenAIのCodexが導入されており、要件定義からGitHubコードとの整合性確認、実装、テストに至るまで、ワークフロー全体で活用されている。これにより、エンジニアはAIが生成した計画のレビューと高レベルの意思決定に注力し、実装作業の多くはAIが自律的に実行することで、開発速度は従来の3~5倍に加速したという。OpenAIの継続的な実践的サポートも、開発期間短縮に寄与している。

QommonsAIの価値は、情報検索の高速化に留まらない。Polimillの検証では、経験の浅い職員がAIと蓄積された行政情報を用いて作成した政策提案が、経験豊富な職員による提案に近い評価を得た。Polimillは、この差がマニュアル化されていない実務判断である「暗黙知」に起因すると分析し、ベテラン職員がAIをどのように活用し、成果物を修正するかを記録することで、これまで文書化されてこなかった判断を組織知として形式化する計画である。これは、AIが熟練した職員を代替するのではなく、その能力を増幅し、ノウハウを次世代に伝達することを目標としている。

2026年秋には、Polimillは外部企業が自治体向けアプリケーションを提供できるストア「Qommons ONE」の全面展開を計画している。このストアの中心には、複数の専門AIシステムと民間アプリを統合する「スーパーエージェント」が配置され、ユーザーが目標を指示するだけで、必要なAIやアプリを呼び出して実用的な成果物を生成する。


参考: OpenAI Blog — 2026年8月31日 04:00 (JST)

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