建設業界向けAIスタートアップのTrunk Toolsは8月13日(現地時間)、創業者のサラ・ブッフナー (Sarah Buchner) 氏が建設現場で培った10年以上の経験に基づき、プロジェクト管理の効率化を目指す事業を展開している。同社は、建設現場が抱える膨大な情報の断片化という課題に対し、AIエージェントを活用したソリューションを提供。建設プロセスにおける非効率性の解消に取り組んでいる。
Trunk Tools創業者のサラ・ブッフナー (Sarah Buchner) 氏は、オーストリアの低所得世帯で育ち、10代で大工としてキャリアを始めた。その後、建設業界で経験を積み、ヨーロッパで大規模な建設プロジェクトを管理するゼネラルコントラクターへと成長した。しかし、担当現場で作業員が死亡する事故を経験したことが転機となり、建設現場での健康と安全に関するアプリケーション開発に着手。データサイエンスと初期の人工知能(AI)に焦点を当てた博士号研究へと進んだ。
この研究を通じて、ブッフナー氏は建設会社が生成する膨大な情報が断片化され、分析が困難である現状を認識した。2019年に米国カリフォルニア州へ移住し、スタンフォード大学経営大学院 (Stanford Graduate School of Business) に入学。在学中の2021年にTrunk Toolsを設立し、2022年に同大学院を卒業した。
Trunk Toolsは、建設現場の既存システムと連携し、AIエージェントを用いて契約や建設図面のレビュー、矛盾点の指摘、仕様書や提出書類、入札に関する支援を行う。例えば、あるエージェントが図面の問題を発見すると、その情報を別のエージェントに渡し、変更がプロジェクト全体に与える影響を評価する。ブッフナー氏は、平均的な建設現場で300万から400万ページに及ぶ文書が扱われると推定する。過去には、プロジェクトオーナーによる変更要求が、約1億ドルのプロジェクトにほぼ400万ドルの追加費用をもたらすことをTrunk Toolsが算出し、その変更が中止された事例もある。
ニューヨークに拠点を置くTrunk Toolsは現在、100人以上の従業員を擁する。約1年前には2つだったAIエージェントの数は、現在10以上に増加した。ブッフナー氏は、創業初期の資金調達では従来のテック創業者像に合致しないことで苦労したものの、自身の建設業界での深い経験が、その後の投資家からの信頼獲得に繋がったと述べている。
建設業界は歴史的に、新しいテクノロジーの導入が遅れてきたと指摘されている。ブッフナー氏は、購入者と実際の使用者との間に距離があること、および薄い利益率がその原因だと述べる。しかし、AIは他のテクノロジーよりも速いペースで建設業界に採用されていると感じている。Trunk Toolsは現在、ソフトウェアの販売だけでなく、大規模組織でのAI導入を支援するためのトレーニングや変更管理サービスも提供している。
参考: Crunchbase News (アーカイブ) — 2026年8月13日 20:00 (JST)