Import AIは2026年8月3日(現地時間)、トロント大学、ベクター研究所、ケンブリッジ大学、サービスナウの研究者らが、大規模言語モデル (LLM) を利用し、自律的に増殖するプロトタイプのコンピューターウイルスを開発したと報じた。このAIワームは、感染したコンピューターのグラフィックス処理ユニット (GPU) リソースを流用してLLMの推論を実行し、脆弱性を探して感染を広げる。研究者らは「自己持続的なAI駆動型サイバー脅威はもはや理論上の存在ではない」と指摘し、新たなサイバー脅威としてのリスクに警鐘を鳴らしている。

研究で開発されたワームは、侵害したグラフィックス処理ユニット (GPU) ノードの計算能力を盗用し、大規模言語モデル (LLM) をホストして生成的推論を実行するとされる。これにより、脆弱性を検出し、追加のターゲットに対するカスタマイズされた攻撃を考案し、拡散を促進することが可能になると見られる。

概念実証は、単一のローカルGPUで動作するオープンウェイトLLMのみを使用し、ベンダーAPIに依存しない形で実施された。研究者らが公開した2025年のLLMは、80GBのビデオRAM (VRAM) を搭載した単一のA100 GPUに適合するとされる。エージェントには、ネットワークおよびホストの発見、侵入足場の確立、権限昇格、およびエージェントの複製を支援するカスタムツールが付属している。

エージェントの攻撃成功率は、脆弱性検出で約80%、悪用で約53%、自己複製で88%に達し、全体的な完全攻撃成功率は約37%だった。研究者らは、個々の悪用試行の脆弱性にもかかわらず、ワームエージェントはネットワーク全体で並行して動作する独立したレプリカの群れに継続的に自己複製することで運用上の回復力を達成すると指摘している。これは、単一の制御点をオフラインにしても拡散を中断できないことを意味するとされる。

従来のサイバー脅威が人間による介入や既存のシグネチャに依存する傾向があったのに対し、このAIワームはLLMの推論能力を活用して自律的に新たな脆弱性を発見し、攻撃を適応させる点で大きな違いがある。特に、GPUリソースを「盗用」して自身の拡散活動に転用する点は、今後のサイバーセキュリティ対策において、異常な計算資源の消費パターンを監視する必要がある可能性を示唆している。また、独立したレプリカが並行して動作する「群れ」としての特性は、単一ポイントでの防御が困難になることを意味しており、ネットワーク全体の挙動監視や異常検知の高度化が防御側にとって重要になると見られている。


参考: Import AI (Jack Clark) (アーカイブ) — 2026年8月3日 22:31 (JST)

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