Together AIは2026年7月15日(現地時間)、シンキング・マシーンズ・ラボ (Thinking Machines Lab) が開発した新しいマルチモーダルな混合専門家(MoE)モデル「インクリング (Inkling)」を、同社の推論プラットフォームで提供開始した。インクリングはテキスト、画像、音声を入力として受け入れ、テキストを出力する。制御可能な推論努力をサポートし、開発者が各タスクのニーズに応じてモデルの推論適用度を調整できる点が特徴である。

シンキング・マシーンズ・ラボ (Thinking Machines Lab) が開発したインクリング (Inkling) は、トークン効率の高い推論、ネイティブなマルチモーダル理解、そして幅広いタスクへの汎用性を提供することを主な特徴としている。

このモデルは、科学的推論、コーディング、エージェントワークフロー、予測、そして較正された予測といった広範な能力を持つよう、綿密な事後学習が施されている。これにより、さまざまな複雑なタスクにおいて高いパフォーマンスを発揮するよう設計されている。

インクリングのアーキテクチャは、従来のデコーダー専用Transformerを凌駕するいくつかの革新的な要素を導入している。具体的には、query-conditioned relative attentionメカニズム、モデル全体にわたるshort causal convolutions、そして共有エキスパートシンクを持つ混合専門家 (Mixture-of-Experts) アーキテクチャが含まれる。これらの技術的進歩は、効率的なモデル実行を維持しながらも、強力な推論能力とマルチモーダル理解能力を同時にサポートするために設計されたものである。

Together AIのプラットフォーム上では、インクリングは最適化されたFlashAttention-4ベースのattention kernel上で動作する。このカーネルは、インクリング独自のquery-conditioned relative attentionメカニズムを効率的にサポートするために特化されている。開発者はTogether AI Serverlessを通じて、サーバーレス形式でインクリングを容易に利用することが可能である。このサービスは、1Mのコンテキストウィンドウを提供し、OpenAI互換のAPIを通じてアクセスできるため、既存のワークフローへの統合もスムーズに行えるよう配慮されている。

インクリングの導入は、複雑な情報処理を必要とする多様なアプリケーション開発の加速が見込まれる。特に、テキスト、画像、音声といった複数のモダリティにまたがるデータから深い洞察を引き出す必要がある場面で、その有効性が期待されている。例えば、製造業における品質管理での視覚・聴覚データの統合分析、医療分野での画像診断と患者記録の関連付け、金融市場での多角的な情報源に基づく予測モデル構築などが考えられる。1Mに及ぶ長大なコンテキストウィンドウは、膨大な文書群や長時間の音声記録を一括して処理することを可能にし、開発者がより複雑な問題にアプローチし、より洗練されたエージェントや自動化システムを構築するための強力な基盤を提供する。

さらに、混合専門家(MoE)アーキテクチャとトークン効率の高い推論は、高性能を維持しながらもリソース利用を最適化する。これは、大規模なAIモデルの運用コスト削減につながるとされ、特にコスト効率が重視される商用アプリケーションにとって重要な選定基準となりうる。開発者は、インクリングの「制御可能な推論努力」の特性を活用し、タスクの重要度や緊急性に応じて計算リソースを動的に調整することで、モデルの効率性と応答性を両立させることが可能である。これにより、既存の単一モダリティモデルや効率の劣るモデルと比較して、開発プロセスの加速、新規サービス開発の機会創出、そしてより低コストでのAIソリューション提供への貢献が期待されている。


参考: Together AI Blog — 2026年7月15日 09:00 (JST)

原文ハイライト

"Together AI brings Thinking Machines Lab’s new model Inkling on day 0"

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