AT&Tベンチャーズ (AT&T Ventures) は6月18日(現地時間)、クランチベース・ニュース (Crunchbase News) のインタビューに応じ、同社の責任者であるヴィクラム・タネジャ氏が、人工知能 (AI) がソフトウェア開発の障壁を大幅に下げた結果、シードステージにおける技術的リスクの定義が変化したとの見解を示した。同氏は、AIの進化がスタートアップの技術的防衛能力 (ディフェンシビリティ) を投資判断においてより重要な要素に押し上げていると語った。
ヴィクラム・タネジャ氏は、かつての技術的リスクの定義であった構築可能か (can they build it?)は、AIツールの普及によりソフトウェア開発が容易になったことで、シードステージでの重要性が薄れていると指摘した。その代わりに、技術は防衛可能か (Is the tech defensible?)という問いが、新たなリスク評価の中心になっているという。
新しい防衛能力の指標として、データモート、独自の学習データセット、アーキテクチャに組み込まれたネットワーク効果を挙げた。また、フロンティアLLMがアプリケーション層に進出し、特定の垂直市場をターゲットにし始めているため、企業が3〜4年間どのように自社を防衛するかに焦点が移っていると述べた。
2025年初頭には、OpenAIのGPT、AnthropicのClaude、LLaMAといったフロンティアモデル上に構築されたAIラッパー企業が多数登場し、多くの資金が流入したことに言及。しかし、フロンティアLLMがプラットフォーム戦略を取り始めたため、AI投資における防衛可能性が不可欠になっていると強調した。防衛可能なプラットフォームの条件として、人工知能による複製が不可能な独自データ、ワークフローに組み込まれた深いドメイン知識、フロンティアラボが直接追求するには専門性が高すぎるニッチ市場やエコシステムを挙げている。
シード期のチーム構成にも変化が見られ、エンジニアリングへの注力は依然あるものの、製品、営業、パートナーシップといった役割が以前よりも早期に求められる傾向にある。これは、プロトタイプや製品版アプリケーションの構築が容易になったことで、顧客とのトライアル確立や販売経路の探索に焦点が速やかに移るためだという。AT&Tベンチャーズのような戦略的投資家にとっては、企業形成の早期段階で協力し、迅速な技術検証や協業の道を見つける機会につながるとした。
タネジャ氏は、成熟した技術を持つ企業に早期投資する機関投資家が増加し、シードラウンドでの競争が激化している状況を説明。しかし、AT&Tベンチャーズは単なる資金提供だけでなく、AT&Tのネットワークチームがポートフォリオ企業の製品を実際の運用環境で検証するなど、構造的に金融系VCとは異なる価値提案を提供していると述べた。この差別化が、自社の価値提案を明確にする要因になっていると結んだ。
参考: Crunchbase News (アーカイブ) — 2026年6月18日 20:00 (JST)
原文ハイライト"Is the tech defensible?"