Vercelは2026年6月17日(現地時間)、エンタープライズチーム向けにデプロイメントへのアクセス制御を可能にする新機能「Vercel Passport (ヴァーセル・パスポート)」の公開ベータ提供開始を発表した。既存のアイデンティティプロバイダーであるOkta (オクタ) やAuth0 (オースゼロ)、互換性のあるOIDC (OpenID Connect) プロバイダーを活用し、アクセス管理の一元化を推進する。訪問者は保護されたデプロイメントを閲覧する前に認証が必須となり、企業のセキュリティ要件を満たしながら、Vercel上での開発・運用体制を強化する。

Vercel Passport (ヴァーセル・パスポート) は、単一のOIDC (OpenID Connect) アプリケーションを複数のプロジェクトで再利用できるように設計されている。これにより、エンタープライズユーザーは新しいプロジェクトに対し、アクセス制御に関するチームのデフォルト設定を自動的に適用することが可能だ。さらに、既存のプロジェクトに対しても一括で割り当てを行えるため、管理の効率化に貢献する。認証を通過した訪問者のアイデンティティは、サーバーサイドで@vercel/passportライブラリのgetIdentity()関数を通じて読み取ることができる。

Vercel Passport (ヴァーセル・パスポート) の利用料金は、プロジェクトあたり月額100ドルと設定されており、保護されたデプロイメントにアクセス可能な外部ユーザー数には制限がない。この設定は、Vercelのダッシュボード、またはAPIを通じて行うことが可能である。

本機能の導入は、エンタープライズ企業がVercelのプラットフォームを利用する上でのセキュリティとガバナンスを大きく強化する。従来のデプロイメントアクセス制御が個別の設定に依存しがちであったのに対し、Passportは既存のアイデンティティプロバイダーとの統合により、組織全体のセキュリティポリシーの一元的な適用を可能にする。これにより、特にコンプライアンスが重視される業界や、多数のプロジェクトを運用する大規模組織にとって、開発者の生産性を維持しつつ、厳格なアクセス管理を実現する重要なツールとなるだろう。管理者は、既存のID基盤を活用しながら、Vercel上のリソースへのアクセスを容易に制御できるようになり、運用負荷の軽減とセキュリティリスクの低減が期待される。

今回のPassport (パスポート) 公開は、Vercelがエンタープライズ市場へのコミットメントをさらに深める動きと見られる。Cloudflare Access (クラウドフレア・アクセス) のような既存のアクセス制御ソリューションと比較して、Vercelのプラットフォームに深く統合されている点が強みとなる可能性がある。開発・デプロイ・ホスティングの一連のワークフローの中で、認証・認可がシームレスに組み込まれることで、デベロッパーエクスペリエンスの向上とセキュリティの担保を両立させる狙いがあるだろう。プロジェクトあたり月額100ドルという課金モデルは、多数のプロジェクトを抱える企業にとってはコストが累積する可能性があり、その実務的な含意は導入を検討する企業にとって重要な評価ポイントとなると考えられる。


参考: Vercel Blog (アーカイブ) — 2026年6月17日 09:00 (JST)

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