Anthropic(アンソロピック)は2026年6月13日(現地時間)、開発したAIモデル「Fable 5」および「Mythos 5」の全顧客への提供を停止したと発表した。これは、米国政府が国家安全保障上の理由から輸出管理指令を発令し、Fable 5とMythos 5への外国籍利用者によるアクセスを全面停止するよう指示したためとしている。同社は、指示の根拠となる能力報告に異議を唱え、同様の機能はGPT-5.5を含む他の多くのモデルで利用可能だと主張した。
今回の提供停止は、モデルの「脱獄(jailbreak)」の可能性が国家サイバーセキュリティリスクになるとの理由に基づいている。Anthropicは、政府からの証拠は限定的で、誤解が生じている可能性があるとの見解を示した。この措置は、米国政府の従業員やベンダーだけでなく、全世界の全顧客に影響を与え、AIモデルに対する輸出管理の先例として注目される。
この事態を受け、技術者らはこれを純粋な政策問題ではなく、モデル主権(Model Sovereignty)のリスクとして捉えている。外部のフロンティアAPIへの依存は、輸出管理によって一夜にして利用不可能になる地政学的リスクを伴うことが明確になったと指摘されている。Artificial Analysis(アーティフィシャル・アナリシス)は、そのIntelligence Frontier chartが「初めて後退した」と述べた。
一方、コーディングエージェントの評価ベンチマークにも動きがあった。Artificial Analysisは、以前はゲーム化されていた「SWE-Bench Pro」を、データカーブ(Datacurve)の「DeepSWE」に置き換え、ランキングが大きく変動した。この変更により、Claude Code + Fable 5 [max]が77点でトップに立ち、Codex + GPT-5.5 [xhigh]が76点でそれに続いた。また、モデル能力だけでなく、それを活用する「ハーネス品質」の重要性も議論の焦点となっている。
オープンウェイトモデルの分野では、Kimi Moonshot(キミ・ムーンショット)が「Kimi-K2.7-Code」を、MiniMax(ミニマックス)が「MiniMax M3」をそれぞれリリースした。Kimi-K2.7-Codeは、K2.6と比較してKimi Code Bench v2で+21.8%の向上を示し、推論トークンを30%削減したと報告されている。MiniMax M3は、約428Bパラメータ(うち約23Bがアクティブ)のマルチモーダルモデルで、テキスト、画像、ビデオに対応する。両モデルとも、vLLMなどのエコシステムから早期のサポートを受けた。
エージェントインフラの進展として、Artificial Analysisはエージェント推論に特化した新しいベンチマーク「AA-AgentPerf」を発表した。これは生のTPSではなく、電力あたりのエージェントスループットを主要な指標とする。また、SkyPilot Org(スカイパイロット・オーグ)はSkyPilot Sandboxesの提供を開始し、Kubernetesクラスター上でセキュアなLLM生成コード実行環境を提供する。Anthropicも、提供停止以前には、顧客管理下のサンドボックス内でClaude Managed Agentsを実行するためのドキュメントを拡充していた。
参考: Latent Space — 2026年6月13日 13:30 (JST)
原文ハイライト"Fable and Mythos officially too dangerous to release"