Latent Spaceは11月2日(現地時間)、法律テクノロジー企業レゴラ (Legora) のCTOであるヤコブ・ローリッツェン (Jacob Lauritzen) 氏へのインタビューを公開した。同氏は弁護士向けAIエージェント開発の現状と、法務業界における時間課金ビジネスモデルの変化について言及。レゴラは直近のシリーズEラウンドで、3月に5億5000万ドルを調達し評価額55億5000万ドル、さらに10月に再び5億5000万ドルを調達し評価額88億ドルに達した。創業からわずか18ヶ月で年間経常収益 (ARR) 1億ドル、顧客数1,800社超を達成している。

レゴラはスウェーデンのストックホルムで創業し、当初はChatGPTとスウェーデン法、検索ツールを組み合わせたシンプルな製品を提供していた。同社のAIエージェントは現在、Word文書の作成・編集、数千件の契約の一括レビュー、弁護士と顧客および他のエージェント間の作業調整を行うまでに進化している。

ローリッツェン氏は、これまでの法律テックが普及しなかった主な理由として、弁護士が時間課金制であるため、効率化が収益減につながる点を挙げた。しかし、近年は法律事務所への圧力により変化が生じていると指摘。米国では、小規模なレビューなどの定型業務が既に固定料金制に移行しており、M&Aや訴訟、顧客との直接の対話に収益が集中しているという。この変化がパラリーガルやジュニア弁護士の需要を減らすものではなく、むしろAI活用による生産性向上で彼らの価値は高まっているとの見方を示した。

顧客データが機密情報であるため、レゴラは利用者のトレースデータにアクセスせずにエージェントを改善している。3人のエンジニアと3人の弁護士が協力し、顧客の作業をシミュレートする強化学習 (RL) 環境を構築。1万ファイルのデータルームを対象にデューデリジェンスを行い、適切な危険信号を検出するレポートを作成させるなどの評価を行っている。同社には約100人の法務エンジニア (legal engineers) が在籍し、Microsoft Azure上でシステムを運用している。

ローリッツェン氏は、弁護士が契約に対して特定のモデルの選択を迫られるべきではないとし、レゴラの役割は品質、コスト、遅延、ガバナンス、地域的可用性から最適なトレードオフを見つけることだと述べた。現在、モデルは約60%の法律業務を適切に処理できるが、複雑な分析や大規模な契約の編集にはさらなる知能が必要としている。幻覚 (hallucinations) に対応するため、エージェントが作成する全ての文章には、元のPDFの該当箇所をハイライトする引用が付与される仕組みを導入している。

製品はプロジェクト、エージェント、タブラーレビュー (Tabular Review)、リストという少数の基本要素 (primitives) を中心に構築されている。特にタブラーレビューは業界で模倣されており、各行が文書、各列が質問に対応する形式で、最大100万セルをサポートする。法務エンジニアはこれらの基本要素を用いて新しい製品をコードを書かずに設定している。


参考: Latent Space (アーカイブ) — 2026年11月3日 08:01 (JST)

原文ハイライト

"raised $550 million in March at a $5.55 billion valuation, then another $550 million"

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