Whatnot(ワットノット)は8月2日(現地時間)、Lenny's Newsletter(レニーズ・ニュースレター)が公開したポッドキャストにおいて、最高製品責任者(CPO)のトム・ヴェリリ(Tom Verrilli)氏が、プロダクトマネジメント(PM)の現状と将来像について見解を述べた。ヴェリリ氏は、同社の製品チームがPMの存在に「後悔している」という前提で設立されたと説明し、人工知能(AI)がPMの役割を根本的に再定義する可能性と、求められる新しい製品開発哲学を詳述した。
トム・ヴェリリ氏は、ライブショッピングプラットフォームWhatnotのCPOとして、流通総額(GMV)80億ドルを超える急速な成長を牽引している。Whatnot以前は、Twitch(ツイッチ)のCPO、Twitter(ツイッター)のプロダクトグロース担当ディレクターを歴任するなど、テクノロジー業界で豊富な経験を持つ。
ポッドキャストの対談でヴェリリ氏は、今日の製品開発組織においてプロダクトマネージャー(PM)の役割が変容していると指摘した。シニアなIndividual Contributor(IC)が実務を主導する重要性が増しており、従来のPMの役割は戦略的思考と実行の橋渡し役へとシフトしていると述べる。AIがデータ分析や意思決定支援の多くを担うようになり、PMはより高度な洞察力や人間中心のデザイン思考に注力する必要性が高まっているという。
ヴェリリ氏は、WhatnotのデータサイエンスチームがAIを活用して製品開発プロセスに深く統合されている具体例を挙げ、AIがPMの業務を効率化し、再形成していると解説した。AIは市場トレンドの分析、ユーザー行動の予測、ABテストの最適化など多岐にわたる領域でPMを支援し、PMはより複雑な問題解決や創造的な戦略立案に時間を割けるようになるとの見方を示している。これにより、PMはデータ駆動型のアプローチをさらに深化させ、仮説検証のサイクルを加速させることが可能になる。
同氏のプロダクトに対するメンタルモデルは「アコーディオンを演奏する」と表現される。これは、製品の機能や範囲を必要に応じて拡大・縮小させる柔軟性を意味する。ヴェリリ氏は、市場の変化やユーザーのニーズに応じて製品のスコープを巧みに調整し、異なるチーム間の連携を音楽のように調和させることの重要性を説いた。この比喩は、製品戦略が固定的なものではなく、常に動的であり、状況に応じて最適な形に「伸縮」させる必要があるという哲学を象徴している。
また、ヴェリリ氏は、優秀な人材を雇用し、彼らの道を邪魔しないという一般的な経営哲学が、特定の状況下では必ずしも成功しない可能性についても言及した。特に大規模な組織においては、過度な自由が方向性の喪失や非効率を招くことがあるため、明確なビジョンと適切な統制が不可欠であると強調する。Twitter在籍時の経験から、大規模組織における製品戦略の複雑さと、それに伴うコミュニケーションおよび意思決定の課題について教訓を得たという。これらの経験が、プロダクトマネジメントに対する彼の考え方、特にPMの役割の再定義とAIの活用に対する深い洞察に繋がっている。
参考: Lenny’s Newsletter — 2026年8月2日 21:32 (JST)
原文ハイライト"This CPO regrets that product management exists"