Google Research は2026年7月30日(現地時間)、自律的な研究プロセスにおけるハルシネーションを排除し、検証可能性を高める「Science One Framework」を発表した。この実験的な研究プロトタイプは、検証可能な証拠連鎖 (Chain-of-Evidence、CoE) をネイティブに構築する。また、AI生成論文の整合性を評価する「CoE Audit」プロトコルも導入した。
大規模言語モデル (LLM) が科学研究ワークフローの自律エージェントとして展開される中、AI生成論文の表面的な品質向上とは裏腹に、検証可能性という構造的な課題が浮上している。既存システムでは非実在の引用生成、記述された手法と実際のコードの不一致、再現不能な実験スコアなどが確認されていた。
Science One Framework はこの課題に対処するため、Chain-of-Evidence (CoE) フレームワークを具体化した。CoEは研究成果物の信頼性を定義する概念フレームワークであり、すべての主張が記録された証拠連鎖を持つこと(完全性)と、各連鎖が主張を裏付けていること(正確性)を原則とする。同フレームワークは文献調査、発見エンジン、論文作成・検証の3つの主要モジュールで構成される。
問題調査モジュールはSemantic Scholar APIを介して引用グラフを構築し、最大100のフルテキストPDFを読み込み、最終論文のすべての引用がこのAPIコールに由来することで、モデルの記憶への依存を排除する。発見エンジンは複数の並行ブランチでアイデアを探索・活用し、全ての評価結果を読み取り専用の記録としてまとめる。論文作成・検証モジュールは、各主張が特定のワークスペース成果物に紐づくインライン証拠タグを持つ構造化表現を構築し、Claim Verifierが各主張を宣言されたソースと照合する。
Science One Frameworkの厳格な評価のため、CoE Auditを開発した。これは生成された論文、ソリューション、コード、引用に対し、スコア検証、仕様違反、引用検証、手法・コード整合性の4つの整合性チェックを実行する自動鑑識プロトコルである。ADRSベンチマークの75論文をCoE Auditで評価した結果、Science One Frameworkはベースラインシステムと比較して検証可能性において大幅に優位性を示した。ベースラインシステムでは最大21%の引用ハルシネーションが発生したが、Science One Frameworkはゼロを達成し、完全なスコア検証と最高の手法・コード整合性を実現した。
厳格な検証可能性の実装は、エージェントの科学的能力を損なわなかった。Science One Frameworkは、ADRSの5つのタスク全てにおいて人間エキスパートのパフォーマンスと同等またはそれ以上を達成し、特にCloudcastとEPLBの2つでは全システム中で最高の総合スコアを記録した。さらにMLE-Benchの5つのKaggleコンペティションでは2つの金メダルと2つの銀メダルを獲得し、Parameter-Golfでも性能を発揮した。
参考: Google Research Blog (アーカイブ) — 2026年7月31日 05:36 (JST)
原文ハイライト"Science One Framework: A verifiable autonomous research framework via Chain-of-Evidence"