Anthropicは7月28日(現地時間)、大規模言語モデル (LLM) であるClaude Mythos Preview (クロード・ミトス・プレビュー) を用いて、二つの主要な暗号アルゴリズムにおける弱点の発見と、既存の攻撃手法の改善に成功したと発表した。後量子暗号の候補であるデジタル署名スキーム「HAWK (ホーク)」と、広く利用されている対称暗号「Advanced Encryption Standard (AES) (アドバンスト・エンクリプション・スタンダード)」のラウンド削減版に対する新たな攻撃手法を特定した。これらの発見は、現在稼働している本番システムに直接的な影響はないものの、フロンティアAIモデルが重要な暗号アルゴリズムの脆弱性発見に寄与する可能性を示している。

HAWKに対する攻撃は、National Institute of Standards and Technology (NIST) (ナショナル・インスティテュート・オブ・スタンダーズ・アンド・テクノロジー) が後量子コンピューターによる攻撃にも耐えうる暗号システムを求めていた中で、2022年から検討されている第三ラウンド候補の一つである。HAWKは2年間にわたる専門家によるレビューを2度にわたり経ていたが、Claude Mythos Previewはわずか60時間の作業で、これまでの最良の攻撃を改善し、実効的な鍵強度を半分に削減した。この攻撃は、HAWKが使用する格子構造内の、これまで利用されていなかった非自明な自己同型 (nontrivial automorphism) を見つけることで実現された。これにより、同じセキュリティレベルを維持するためにはHAWKの鍵サイズを2倍にする必要が生じると見られる。

もう一つの成果は、NISTが2001年に採用した対称暗号AESのラウンド削減版に対する攻撃である。Mythosは、この脆弱版AESに対する最良の攻撃を200〜800倍高速化する手法を発見した。

これらの研究は、HAWK攻撃ではAnthropicの研究者がClaudeと協力して開発し、AES攻撃では別の研究者が構築した足場 (scaffold) のもとClaudeが完全に自律的に実施した。各研究結果の開発には約100,000ドルのAPIコストを要したとされている。

Anthropicは研究プロセスを通じて、アカデミックな専門家と協議し、NIST、米国政府、業界パートナーに事前に情報開示した。HAWKの発見については、6月にHAWKの作者と共有し、NISTメーリングリストへの開示と同時に結果を公開した。また、LLMの暗号解読能力の継続的な研究を支援するため、ETH Zurich (イーティーエイチ・チューリッヒ)、Tel Aviv University (テルアビブ大学)、University of Haifa (ハイファ大学) の学術機関と提携し、CryptanalysisBench (クリプトアナリシスベンチ) を構築したことも発表している。


参考: anthropic.com (アーカイブ) — 2026年7月28日 09:00 (JST)

原文ハイライト

"Mythos Preview achieved these results mostly autonomously and mostly without human intervention."

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