ヘンリック・ランドグレン (Henrik Landgren) は6月30日(現地時間)、ベンチャーキャピタル(VC)業界における人工知能(AI)の活用方法に根本的な課題が存在すると指摘した。同氏は、AIの真価を引き出すには、優れたデータインフラの構築と、企業の財務、決済、会計システムなど直接的な情報源への接続が不可欠であると主張。これにより、投資家はより質の高いデューデリジェンスを実行し、見過ごされている有望なスタートアップを特定し、投資判断の迅速化と正確性の向上を実現できるとしている。
ランドグレン氏は、投資家が有望な創業者と出会った際、膨大なデータが提示される現状を説明した。多くの投資家は、関連する情報をAIで選別しようとするが、このデータは創業者によって選ばれ、加工されているため、情報非対称性の問題が生じていると指摘する。
ランドグレン氏は、かつてSpotifyで分析担当副社長を務めた経験から、企業内部には表面化されていない詳細なデータが大量に存在し、それに基づく意思決定が運営方法を根本的に変えることを実感したという。この経験から、現在のVC業界がデータ活用においていかに遅れているかに衝撃を受けたと述べている。
多くの投資チームがAIを導入する際、LLM(大規模言語モデル)を用いてレポート作成やピッチの要約時間を短縮することに満足しがちだが、これは本質的な作業効率の改善にはつながりにくいとランドグレン氏は指摘する。AI導入における核となる課題はGarbage in, garbage outという原則に集約されるとし、AIの有効性は入力されるデータの質に依存することを強調した。
適切なアプローチはAIの前にデータから始まる。支払い記録、マーケティング実績、会計システム、取締役会報告書など、企業が実際にどのように運営されているかを反映する直接的なデータソースに接続することが重要である。これにより、投資家は創業者から提供されるパッケージ化された情報ではなく、企業の隠れた欠点や課題を事前に把握できるようになる。
ランドグレン氏は、データアクセスを改善することで、投資家はより競争力を持つことができると主張する。より魅力的な案件においては、最も早く確信を持った者が優位に立つため、データ収集と整理に時間を費やすことなく、競合他社より早くタームシートを発行できるかが重要となる。また、AI搭載ハードウェアやディープテックといった次世代の企業を評価するためには、従来の収入モデルや成功指標では不十分であり、新たな評価方法に対応するデータインフラの構築が不可欠であると結論付けている。
参考: Crunchbase News — 2026年6月30日 20:00 (JST)
原文ハイライト"Garbage in, garbage out"