Vercel は2026年6月16日(現地時間)、Workflow SDK 5ベータが実行中の操作をキャンセルするインフライトキャンセル機能に対応したと発表した。標準のAbortControllerおよびAbortSignal APIをワークフローおよびステップの境界を越えてサポートすることで、耐久性のあるサーバーレスワークフローにおいて、進行中の処理を中断可能にする。これにより、リソースの最適化やユーザーエクスペリエンスの向上に寄与することが期待される。
ヴァーセルが提供するWorkflow SDKにおいて、インフライトキャンセル機能が追加された。これは、ウェブ標準のAbortControllerとAbortSignal APIを活用し、耐久性のあるワークフロー内の進行中の操作を効率的に停止させることを目的としている。
具体的には、AbortControllerをワークフロー内で作成し、そのシグナルを一つ以上のステップに渡すことで、実行中の操作のキャンセルが可能となる。このアプローチは、既存のfetch APIが採用しているものと同じAPIモデルを踏襲しており、開発者にとっては学習コストの低減につながると見られる。AbortSignalは、ワークフローのサスペンションや決定的なリプレイを跨いで持続し、実行中のステップが個別の関数呼び出しであってもキャンセルを認識する。キャンセルは協調的に機能するため、ステップ側でシグナルを検査するか、AbortSignalをサポートするAPIに渡す必要がある。
この機能により、耐久性のあるタイムアウトが発生した際に低速なステップを停止させたり、最初の成功応答を得た後に残りのリクエストをキャンセルしたり、マルチステップパイプライン全体にシグナルをスレッド化して複数の処理を同時に管理したりすることが可能になる。また、外部条件が変化した際に並列で実行中の作業をキャンセルするなどの高度なユースケースにも応用できる。この機能は workflow@beta パッケージで現在試用可能であり、キャンセルに関する詳細なドキュメントが提供されている。
ウェブ標準のAbortController/AbortSignalを耐久性のあるワークフローに組み込むことは、サーバーレスコンピューティング分野における重要な動きとして注目される。テンポラル (Temporal) やCloudflare のDurable Objectsといった競合技術がそれぞれ独自の耐久性メカニズムを提供している中で、ヴァーセルは既存のウェブ標準APIとの互換性を強調することで、開発者の採用を促す戦略と見られる。一般的なウェブ開発で広く使われているAPIを耐久ワークフローの文脈に持ち込むことで、開発者は新たな概念を習得することなく、より堅牢で効率的な分散システムを構築できる可能性が広がる。これは、開発者体験の向上と、既存のフロントエンド開発エコシステムとの連携強化に繋がると考えられる。一方で、耐久性とキャンセルの協調的性質を適切に管理するには、開発者側での慎重な実装が引き続き求められる。
参考: Vercel Blog — 2026年6月16日 09:00 (JST)