ファッションスタートアップのアトリー (Atorie) は2026年8月27日(現地時間)、シードラウンドで950万ドルを調達したと発表した。調達にはエーワンシックスジー・スピードラン (a16z speedrun)、ナイト・キャピタル (Night Capital)、ライトスピード・ベンチャーズ (Lightspeed Ventures) のジェレミー・リュー (Jeremy Liew) 氏らが投資家として参加した。同社は、高級ブランドが使用するのと同じ素材と工場で製造されたハンドバッグや衣類を、適正な価格で消費者に直接提供している。
アトリーが提供する製品は、例えばイタリア製レザーハンドバッグが数百ドル程度で販売されており、プラダ (Prada) やルイ・ヴィトン (Louis Vuitton) といったブランドが同等の商品を数千ドルで販売するのと比較して低価格である。共同創業者でシリアルアントレプレナーのレドゥアン・ラムダニ (Redouane Ramdani) 氏は、アトリーの製品について「同じ素材、同じ職人技」「同じ工場から来ている」と説明し、同社はファストファッションとは異なり「スロー」なアプローチであると述べている。
ラムダニ氏はアトリー以前にクリエイタープラットフォームのスニップフィード (Snipfeed) を構築し、2024年に売却している。フランスで高級品製造業に携わる家族の下で育った同氏は、自身の経験からこの業界での事業構想を抱いていたという。同氏がスニップフィードを売却した頃には、高級品製造業界は大きく変化していた。ラムダニ氏によると、最良の工場はもはや単に製造するだけでなく、独自のデザイン・製品開発能力を持つようになり、少ロット生産にも対応可能になったという。これにより、ブランドが大量発注にコミットする必要がなくなり、工場側の過剰在庫リスクも軽減される。
アトリーは人工知能 (AI) を活用し、ファッションのトレンド分析、製品の色合いテスト、消費者需要の予測、素材の不足時期予測などを実施している。これにより、工場は大量生産をコミットする前に売れ行きが期待できる製品を特定し、過剰生産を抑制できる。消費者の側では、アトリーのウェブサイトは顧客のインスピレーションに基づいて服装を提案するAIエージェントを提供している。同社はAIを活用して買い物客の習慣を学習し、次の購入品を提案するほか、ChatGPTやClaudeのようなプラットフォームからの販売紹介が増加していることを報告している。
アトリーは、Zaraの代替となり、非常に高品質なものを非常に手頃な価格で提供することを目標としている。同社は昨年約500万ドルの売上を計上し、本年は年間換算で5500万ドル超に達すると見込んでいる。現在、同社は世界中の40以上の工場と協力している。今回の調達資金は、物流の強化、AIツールの開発、生産支援に充てられる。また、Amazon Essentialsのような自社ブランドラインの展開や、クリエイターやインフルエンサーが自身の衣料品ラインを迅速に立ち上げる支援も計画している。
参考: TechCrunch Funding — 2026年8月28日 02:00 (JST)