NPRが2026年7月15日(現地時間)付けで報じたところによると、一部の米国のスタートアップ企業が、運用コストを削減するため、高価格帯の米国製AIモデルから、低価格の中国製AIモデルへの移行を進めている。サンフランシスコを拠点とするLindy.aiは、主要な経費となっていたAnthropicのモデルから、中国製AIモデルDeepSeek-V4へトラフィックの100%を移行したことを先月発表。これにより同社は数百万ドルの費用削減を実現したという。

Lindy.aiのフロー・クリヴェロ (Flo Crivello) 氏は、AIモデルが給与を上回る最大の経費となっていたと述べ、DeepSeek-V4への移行は「10倍安価」であり、「非常に単純なビジネス上の決定」であったと説明した。

AIモデル開発において、米国企業であるAnthropic、OpenAI、Googleが世界をリードしていると専門家は指摘する。中国製モデルは性能面で6〜12ヶ月遅れていると見られているが、オープンソースモデルの分野では中国が優位に立っているとクリヴェロ氏は指摘している。Uberのダラ・コスロシャヒ (Dara Khosrowshahi) CEOも先月、AI予算が四半期で年間分を使い果たしたと述べるなど、AIコストの高騰はスタートアップ企業に限らず課題となっている。

ブルームバーグ (Bloomberg) は、Airbnbのブライアン・チェスキー (Brian Chesky) CEOが昨年、AlibabaのQwenモデルを「良い」「高速で安価」と評価し、同社が利用していたと報じた。PerplexityとNvidiaもQwenを利用している。多くの企業が政治的配慮から中国製モデルの利用を公にはしていないものの、Hugging FaceやGitHubなどのAIモデルハブ、あるいは中国国外の推論プロバイダーを通じて広く利用可能である。

サンフランシスコを拠点とするFeatherlessは、約30,000種類のAIモデルへのアクセスを提供しており、創業者のユージン・チー (Eugene Cheah) 氏は、中国製モデルは「フロンティア」モデルではないが人気があると述べた。別のAIモデルプラットフォームであるOpenRouterの報告によると、中国のDeepSeekの利用は1月以降、約9%から約20%近くに増加している。MiniMax、Xiaomi、Tencentといった中国企業のモデル利用も上昇している。

上海を拠点とするMiniMaxでグローバルプロダクトマーケティングを担当するビクター・スーオルティス (Victor Su-Ortiz) 氏は、企業のAI利用が「トークンマキシング」(AIを最大限に利用すること)から、使用制限や安価なモデルへの切り替え、タスクに応じたモデルの使い分けなど、コスト削減を重視する方向へ変化していると指摘した。研究や「深い推論」には最先端モデルが優れているものの、繰り返し発生する高ボリュームのコーディングタスクには、MiniMax M3のようなモデルが10分の1程度のコストで優れた性能を発揮するという。

一方で、創業間もないComment.ioのジョン・ゴードナー (Jon Gordner) CEO兼共同創業者らは、現時点ではAnthropicやOpenAIのモデルからの価値を得ており、安価なモデルへの切り替えによってバグ修正に時間を費やすことは避けたいとの見方を示した。同氏は、米国AI企業が現在提供している大幅なトークン割引が永久に続くものではないため、将来的には中国製モデルやオープンソースモデルの評価を検討することになるだろうと述べた。企業支出の追跡を支援するRampの主席エコノミストであるアラ・ハラジアン (Ara Kharazian) 氏は、中国製モデルの台頭は、米国企業がまだ提供できていないものを企業が求めていることを示していると指摘し、米国AI企業が競争的に対応するだろうとの見方を示した。


参考: npr.org — 2026年7月15日 18:00 (JST)

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