arXiv cs.ROは10月26日(現地時間)、ロボットエージェント「ゼロリアル・エージェント・ポリシー (ZAP)」に関する論文を公開しました。この論文によると、ZAPは実世界のロボットデータによる訓練なしに、実世界タスクで96.7%という高い成功率を達成しました。ZAPは、事前学習済みの大規模モデルとシンプルなツールハーネスを介して、オフザシェルフのビジョン言語モデルをロボット制御に応用する独自のアプローチです。GPT-6 Astraと同等の性能を示しつつ、動作速度は3倍に向上し、コストは17倍削減される点を特徴としています。
ゼロリアル・エージェント・ポリシー (ZAP) の開発目標は、ロボットがタスクの意図を理解する「What」と、そのタスクを達成するための具体的な動作を学習する「How」という二つのスキルを習得することにあります。このエージェントは、まず270億パラメータを持つ事前学習済みモデルを用いて世界の理解と高度な推論能力を獲得します。その後、シンプルなシミュレート環境における教師ありファインチューニングと、Generalized Policy Reaching Optimization (GRPO) を適用することで、ロボットの運動能力を学習させます。この二段階の学習プロセスは、大規模な実世界データ収集を必要とせず、効率的な能力獲得を可能にします。
ZAPの最も際立った特徴は、訓練データには登場しない完全に新しい物体、目標、戦略、言語表現に対しても、優れた汎化能力を示す点です。その能力は、複雑で多様な実証タスクを通じて確認されました。具体的には、試験管をラックの特定の穴に正確に配置するタスク、空中で試験管をアーム間で受け渡す高度な操作、三目並べの盤面に「X」を描くタスク、さらにはチェスをプレイするタスクなどが含まれます。これらの実証は、ZAPが単なるパターン認識に留まらず、抽象的な概念理解と推論に基づいた行動生成が可能であることを示しています。
さらに、ZAPは未知のエンボディメント(異なる物理的身体)への転移能力も実証しています。単腕のFrankaロボットを用いたRoboLab-120のタスクでは、55.9%という成功率を記録しました。これは、既存のVisual-Language Action (VLA) やWorld-Agent Model (WAM) ベースラインを4.9パーセントポイント上回る結果です。先行研究であるMolmoAct2 VLA(33.3%)と比較してもZAPは優位性を示しています。この成果は、ZAPが特定のロボットハードウェアに依存することなく、多様な物理的形態を持つロボットにも適用可能であることを裏付けています。ZAPのシミュレーション訓練を通じたロボットエージェントの学習方法は、幅広い応用可能性を持つ効率的なアプローチであることを示唆しています。
参考: arXiv cs.RO (アーカイブ) — 2026年10月27日 02:44 (JST)
原文ハイライト"Pretraining Knows What, Simulation Teaches How"