Anthropic は2026年8月9日(現地時間)、開発中のAIモデル「Claude」が、数学の未解決問題であるリーマン仮説 (Riemann hypothesis) に関連する研究で、リーマンゼータ関数 (Riemann zeta function) のゼロ点に関する下限を、従来の41.6%から67.2%に向上させたと発表した。この成果は、AIモデルが数学分野において新たな発見を促す可能性を示している。
Anthropic の発表によると、Claude はリーマン仮説そのものの解決には至らなかったものの、関連する課題において顕著な進歩を遂げた。具体的には、リーマンゼータ関数のゼロ点のうち、リーマン仮説を満たす割合の下限を、これまでの最先端であった41.6%から67.2%へと引き上げた。
この発見は、数学者バルヨット (Baluyot)、ゴールドストン (Goldston)、スリアジャヤ (Suriajaya)、ターネージ・バターボー (Turnage-Butterbaugh) らによる複数の研究と、2000年に発表されたボンビエリ (Bombieri) の論文の成果を組み合わせることで実現した。Anthropic の数学者2名が Claude の論文を精査し、専門家向けに簡潔な証明を記載した非公式な注記を作成。Claude 自身も形式的に検証可能な証明を生成した。
この研究は、未公開の研究版 Claude が「Claude Code」環境内で2回のセッションにわたって実施された。Anthropic のジャレッド・サムナー (Jarred Sumner) 氏が Claude にリーマン仮説への挑戦を指示したものの、最初の650のアイデアは機能しなかった。その後、Claude は約60のClaude subagentsと呼ばれる副エージェントを調整し、2,400のシェルコマンド実行と数百の Python スクリプト作成を通じて、深層的な探索を行った。サムナー氏の関与は主に励ましのメッセージに限定された。
Claude は発見後、様々な副エージェントに証明の検証、反例の探索、54本の arXiv 論文のダウンロードによる既存研究との重複確認、ゼロからの独自再証明を指示し、自己検証を行った。さらに、Claude は自ら研究結果を論文としてまとめ、人間の数論専門家による検証を推奨した。Anthropic のレベント・アルポーゲ (Levent Alpöge) 氏とラルフ・ファーマン (Ralph Furman) 氏が Claude の成果を検証し、エリック・イーズリー (Eric Easley) 氏と共同で Lean による形式化された結果を作成した。
Anthropic は、今回の成果が、AIモデルが数学者のアイデアの到達範囲を拡張できることを示す最新の事例だと位置付けている。今回の発見は当初の要求の意図せぬ副産物として現れ、Claude 自身も当初はその結果に懐疑的であったが、励ましを受けて結果を導き出した。
参考: anthropic.com (アーカイブ) — 2026年8月10日 09:00 (JST)
原文ハイライト"An unreleased research version of Claude has improved on a longstanding lower bound"