Tuhin Chakrabarty (トゥヒン・チャクラバルティ) 氏らは2026年7月22日(現地時間)、生成AIが書籍市場に与える影響に関する論文を学術リポジトリ arXiv cs.CL にて公開した。この研究では、2023年から2026年6月にかけてAmazonで販売された自己出版ジャンルフィクション書籍14,419冊を対象に、AI生成テキストの検出を実施。AIテキストが25%以上検出された書籍は売上シェアが小さいものの、上位ランキングを占めるようになり、書籍数が増加する一方で書籍あたりの収益が減少している現状が示された。
この研究は、生成AIがほぼゼロコストで書籍長のフィクション作品を生成できるという前提に基づき、それらの書籍が「低品質」として商業的影響力が低いという見方に疑問を呈した。
調査結果によると、AIテキストが25%以上検出された書籍は、Amazonのカタログ全体では大きな割合を占める一方で、売上シェアは小さい。しかし、これらの書籍は商業規模に達しており、時間を追うごとに売上シェアを伸ばし、かつてAIテキストが検出されなかった書籍が占めていたトップランクの希少なポジションを獲得している。
対象期間において、四半期ごとの売上が観測された書籍の数は19.2倍に増加したが、四半期ごとの収益は8.9倍の伸びにとどまった。これにより、市場は収益の増加ペースよりも速い速度で書籍を追加しており、ほとんどのジャンルで販売書籍あたりの収益が減少した。
AIテキストが検出されなかった書籍は、AIの普及率が高いジャンル、特にKindle Unlimitedの利用率が高いジャンルで、最も大きな影響を受けている。トップセラー書籍の中で、AIテキストを多く含む書籍は、AIテキストを含まない書籍よりも既存の書籍から特徴的な言語をより多く引用しており、これらの書籍では引用元との重複度が収益とともに上昇する傾向が見られた。このことから、生成AIは品質ではなく規模を通じて創造市場を再構築する可能性があると論文は指摘している。
参考: arXiv cs.CL (アーカイブ) — 2026年7月23日 01:33 (JST)
原文ハイライト"Generative AI can thus reshape a creative market through scale rather than quality."