中国のデジタルコンテンツ企業であるCOL Group(中文在线)は2026年6月(現地時間)、投資家向け会議で、同国のAIトークン消費の55%が短編ドラマや動画生成に費やされていると主張した。この数字は2026年10月(現地時間)に広く拡散し、「中国のAIは生産性向上ではなく娯楽に浪費されている」との論争を呼んだ。これに対し、人民日報(People’s Daily)や南方評論(Nanfang Commentary)など複数の国営系メディアは、米国との単純な比較を否定し、中国AIの科学研究や産業生産への応用を強調。ByteDanceも動画生成の計算能力消費は自社で10%程度だと反論した。
COL Groupは、中国における全トークン消費のうち、AI短編ドラマと動画生成が55%を占め1位、次にeコマースとマーケティングが24%、ソフトウェア開発は15%であると投資家向け会議で説明した。この数字は、中国の国家系シンクタンクである中国情報通信研究院(CAICT)が2026年9月30日(現地時間)に公開したとされるトークン経済発展研究報告(2026)の内容とも一致していると中国のビジネスメディアCaixin(財新)は報じた。しかし、この報告書は現在CAICTのウェブサイトからは確認できない。
動画生成はテキストに比べて極めて多くのトークンを消費する。ByteDanceのSeedanceモデルでは、5秒の720p動画クリップ生成に約10万トークンが必要とされている。潤建股份(Runjian)のトークン事業担当副社長であるファン・イン(Huang Ying)氏も、トークンの50%以上が動画生成に使用されているとの見方を示した。
一方、中国の放送規制当局によると、2026年1月から8月までに公開された約43万本の短編ドラマのうち90%以上がAI制作だった。しかし、これらの公開されたAI短編ドラマのみで55%という数字を説明するには、実際の最終出力の約75倍ものフッテージが生成されている必要があるとの試算もある。この55%という数字は、短編ドラマ向けの動画生成だけでなく、他の用途も合わせたものとみられる。
今回の議論は、AIの適切な利用に関する根底にある懸念を露呈した。中国では2026年5月(現地時間)時点で8億5100万人の短編ドラマ視聴者がおり、そのほとんどがAI制作のコンテンツを消費している状況にある。娯楽に対する大規模な需要と、それに対する生産性重視の社会からの批判が並存している。
参考: ChinaTalk (Jordan Schneider) (アーカイブ) — 2026年10月30日 19:04 (JST)
原文ハイライト"that 55% of China’s AI tokens were being used for short dramas and video generation."