ネイサン・ランバート氏は2026年10月30日(現地時間)、自身が運営するメディア「Interconnects」で、AIモデルがもたらすサイバーリスクに関する自身の見解を更新する記事を公開した。先週、PHP2ShellやGitLabなどの重大な脆弱性開示が相次ぎ「ブラックオクトーバー」という言葉が生まれ、AIモデルのサイバーリスクが具現化し始めた時期とされている。ランバート氏は、かつてオープンモデルが社会を不安定化させるサイバー兵器とはならないとの見方を示していたが、この見解を再検討している。
記事では、PHP2ShellやGitLabを含む一連の深刻な脆弱性開示が相次ぎ、「ブラックオクトーバー」という言葉が生まれた状況を指摘。これはAIモデルが引き起こすサイバーリスクが表面化し始めた瞬間を象徴すると述べた。また、仮想通貨業界で発生したバイナンス (Binance) での主要なセキュリティインシデントにも言及している。
ランバート氏は数週間前、「Claude Mythos」のようなオープンウェイトモデルがリリースされても、世界は「概ね問題ない」との見解を示していた。この見解は、それがリスクの段階的変化ではなく、既存のセキュリティインシデントの「加速」に過ぎないという判断に基づいていた。しかし、AI安全コミュニティからは、オープンウェイトの「Claude Mythos」が「実際の災害」を引き起こす可能性を懸念する声も上がっていた。例えば、80,000 hours podcastのロブ・ウィブリン (Rob Wiblin) 氏は犯罪者や敵対的な国家のサイバーアクターの手に渡れば、実際の災害になるだろうと述べた。Anthropic もProject Glasswingの発表ブログで経済、公共の安全、国家安全保障にとって、その影響は深刻なものになる可能性があると警告していた。
現在の状況について、ランバート氏は大規模なデジタル製品を運用する組織への「混沌」は限定的であると指摘。エポックAI (Epoch AI) がGLM-5.3を用いてFirefoxの脆弱性を見つけ、攻撃に繋げる可能性を示した事例を挙げ、脆弱性の発見は多段階のプロセスの一歩に過ぎないことを強調した。自身の以前の「問題ない (fine)」という表現は不適切だったかもしれないと認めつつも、AIがもたらす困難を織り込み済みであれば、依然としてこの表現は適切であるとも主張した。また、オープンモデルは攻撃と防御のバランスを提供し、多くの企業は攻撃者よりも迅速にオープンウェイトモデルを採用すると示唆。敵対勢力がこれらのモデルやエクスプロイトを秘匿裏に情報抽出に利用している可能性はあるが、公共機関に大規模な被害をもたらす勢力はまだ不明確であると結論付けた。
参考: Interconnects (Nathan Lambert) — 2026年10月31日 02:36 (JST)
原文ハイライト"The fallout—for economies, public safety, and national security—could be severe."