Latent Spaceは2026年8月19日(現地時間)、AI需要の急増を背景に、DRAMなどのメモリ価格が過去12ヶ月間で500%上昇したと報じた。特に高性能な128GBのDDR5メモリキットは、過去最低価格の10倍に達しており、価格水準は2007年と同程度に逆戻りしたと指摘されている。これは長年ハードウェア単価の下落を牽引してきたムーアの法則が、メモリ分野で逆行する異例の事態を示唆している。
このメモリ価格の高騰は、生成AIモデルの学習や推論に必要な高性能GPUの需要拡大に直接起因していると見られる。高性能GPUには高帯域幅メモリ(HBM)が不可欠であり、その生産にはDRAMチップが用いられるため、DRAM市場全体に波及効果をもたらしている。
SemiAnalysisは2月、ポッドキャストを通じてメモリ不足が継続している現状を指摘した。さらにTom’s Hardwareによれば、大手ハイパースケールバイヤーが2027年のDRAM生産能力のほぼ全てを既に確保し、供給保証を目的とした前払いを実施していると報じられている。これは、将来にわたる供給不足への強い懸念が市場に存在していることを示唆している。現在、一般的なDRAMチップは重量あたりの価値で固形金1キログラムの半分以上の価値があるとされ、世界有数の高額商品の一つとなっている状況が続いている。
データ科学者のDaniel Lemire氏はソーシャルメディアへの投稿で、コンピュータメモリ価格が過去数十年にわたり指数関数的に下落してきた歴史の中で、現在の価格高騰が約20年分の進歩を巻き戻し、2007年と同水準になったことを「歴史的な異常事態」として強調した。これは、従来の技術革新によって価格が下がり続けるという常識が、AI時代のメモリ市場では通用しない可能性を示している。
AI開発を巡る競争が激化する中で、高性能メモリの調達コストが上昇することは、AI関連製品やサービスの価格にも影響を及ぼす可能性がある。メモリメーカー各社は増産体制を強化していると見られるが、AI向けHBMの需要が急速に拡大しているため、需給バランスの改善には時間を要するとの見方が強い。
参考: Latent Space (アーカイブ) — 2026年8月19日 17:44 (JST)
原文ハイライト"Memory prices up 500% in 12 months"