米テクノロジーメディア「Big Technology」は5月22日(現地時間)、政府機関がAI技術の導入を加速していると報じた。ITサービス企業Kyndrylのシニアパートナーであるブライアン・シェル氏によると、Department of Motor Vehicles (DMV) などの州機関は、市民サービスの体験向上を目指し、AIを積極的に活用している。これにより、市民の待ち時間短縮や煩雑な事務処理の削減が実現され、行政サービスの効率化が大きく進展しているという。
シェル氏はインタビューの中で、多くの州機関が既にAIの試験導入を進めており、一部では実運用段階へ移行していると指摘した。
特にDMVでは、運転免許証の写真撮影プロセスにAIを導入し、成果を上げている。AIが背景の自動調整や顔の認識を行うことで、従来の3~5分かかっていた作業時間を5~10秒に短縮する事例が報告されている。このシステムにより、市民は別の場所に移動することなく、デスクで迅速に写真撮影を完了できるようになった。
また、政府機関はレガシーシステムの更新時にもAIを活用し、膨大なデータの処理速度向上を図っている。具体的には、市民が日常的な言葉で質問を入力すると、政府機関の専門用語に翻訳し、適切な情報を提供する自然言語検索システムが導入されている。さらに、光学文字認識 (OCR) を超えるエージェントモデルによる紙文書のスキャン・分析・検証システムも活用されており、文書の正確性確認やタイトル譲渡プロセスのデジタル化にも応用され、高い精度で運用されているという。
政府機関におけるAI導入の背景には、「市民体験」の向上が主要な動機として挙げられている。シェル氏は、政府機関が営利組織ではないため、民間企業の投資収益率 (ROI) とは異なる指標として、市民が節約できた時間 (citizen minutes saved)を重視していると説明した。ある州のDMVでは、年間数千万分の市民の時間を節約していると報告されており、これは市民が政府サービスを利用する際に選択肢がない状況において、政府機関が果たすべき大きな責任の一端であると見られている。
参考: Big Technology (Alex Kantrowitz) — 2026年5月22日 19:53 (JST)