イーサン・モリック氏 (Ethan Mollick) は2026年10月20日(現地時間)、著書「Co-Existence」を発売した。同氏は自身のブログ「One Useful Thing」で公開した記事の中で、前著「Co-Intelligence」発表以来の30ヶ月間における人工知能 (AI) の目覚ましい進展を、AI自身が生成したチャートを用いて詳細に解説している。記事はAIの能力向上、利用コストの劇的な低下、そして人間との新たな協業方法に焦点を当て、その変革の軌跡を伝えている。
モリック氏によると、AIは過去30ヶ月で著しい進歩を遂げた。2023年初頭から2024年初頭にかけて、OpenAIのGPT-4が唯一の最先端モデルとしての地位を確立していたが、現在では状況が一変。Anthropic、Google、OpenAIといった各社から20を超える異なるAIモデルがトップ層を占めるようになっている。
さらに驚くべきことに、GPT-4がリリースされた時点の性能を上回るAIモデルは180以上に達しており、その多くはオープンウェイトモデルとして提供されている。また、これら進化したモデルのうち19モデルは、現代のスマートフォン上での動作が可能とされており、AIの小型化と普及が急速に進んでいる実態を示している。
AIがこなせる人間作業量を測定するMETRロングホライズンベンチマーク (METR Long Horizon Benchmark) のデータは、この進歩をより具体的に示している。同ベンチマークでは、GPT-4のリリースから測定終了までの期間で、AIが実行可能な作業量が256倍に増加したと報告されている。具体的な例として、2024年に4分間のタスクしかこなせなかったAIが、2026年4月には17時間分の人間作業を実行できるまでに進化したとされており、AIの処理能力と複雑なタスク遂行能力の飛躍的な向上がうかがえる。
能力向上と並行して、AIの利用コストも大幅に低下している。かつてGoogle Proof Question and Answer Examの正答を取得するために30セントかかっていた費用は、現在ではわずか0.04セントにまで減少した。この劇的なコスト削減は、AIの幅広い導入と活用を後押しする重要な要因となっている。
人間とAIの協業方法にも変化が見られるとモリック氏は指摘する。従来の「centaur work」(AIと人間が役割を分担する)や「cyborg work」(AIと人間が融合する)に加え、現在は「conjurer」という第三の協業方法が登場した。この方法は、必要に応じてエージェントAIを呼び出し、作業を割り当て、その結果を人間が評価するというものだ。モリック氏自身が本書のチャート作成にこの方法を採用しており、エージェントAIであるOpus 5.5がスクリプト作成から画像生成、コンセプト考案、音楽制作、技術的側面までを自動で実行したと説明している。
参考: One Useful Thing (Ethan Mollick) (アーカイブ) — 2026年10月21日 00:57 (JST)