arXiv cs.ROは10月14日(現地時間)、Zhefei Gong氏らが提案した、モバイルマニピュレーション(MoMa)システムの実世界でのファインチューニングを安定かつサンプル効率良く行うためのフレームワーク「HiRe-MoMa(Hierarchical Residual Mobile Manipulation)」を発表した。HiRe-MoMaは、固定ベースポリシーに階層的残差修正を加え、人間による介入を効率的に利用することで、わずかなオンラインインタラクションでタスク性能を向上させる。
モバイルマニピュレーション(MoMa)は自律型ロボットシステムにおいて基盤となる技術だが、実世界でのファインチューニングは、高次元の行動空間と異種モジュール間の複雑な結合により困難な課題とされてきた。
Zhefei Gong氏らが提案するHiRe-MoMaは、この課題に対処するため、階層的残差アーキテクチャ(Hierarchical Residual Architecture)を採用している。このアーキテクチャでは、固定されたベースポリシーに対し、ポリシーに依存しない残差(Policy-Agnostic Residual)が付加的な修正を学習する。さらに、階層的デカップリング(Hierarchical Decoupling)により、残差はモバイルベースとマニピュレータアームのヘッドに分割される。これにより、一方向の条件付けを通じて勾配干渉を軽減し、修正をプラットフォームの物理的階層に合わせることで、複雑なMoMaシステムの安定したファインチューニングを可能にする。
データ集約的な実世界環境でのサンプル効率を向上させるため、HiRe-MoMaにはExpert-Guided Value Alignmentという手法が導入されている。これは、20%未満のトレーニングカバー率という限られた人間介入を利用し、クリティックの価値ランドスケープを再形成することで、専門家の事前知識に基づく自律的な探索を効果的にガイドする。TIAGo++プラットフォームを用いた広範な実世界実験では、HiRe-MoMaがベースポリシーのアーキテクチャに関わらず、わずか約30分のオンラインインタラクションでタスク性能を一貫して向上させることが実証された。
研究チームは、このフレームワークが実世界におけるモバイルマニピュレーション向けの効率的なオンロボットファインチューニングを可能にする最初のものの一つであり、動的で人間中心の環境に複雑なロボットシステムを展開するための実用的なパラダイムを提供すると見ている。本研究はConference on Robot Learning(CoRL 2026)でも発表される予定だ。
参考: arXiv cs.RO (アーカイブ) — 2026年10月15日 02:59 (JST)