IBMは10月15日(現地時間)、欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域の企業におけるAI関連インシデントの発生状況とガバナンスの実態に関する新たな調査結果を発表した。同調査によると、回答した幹部の80%が過去1年間にAI関連のインシデントが取締役会または経営幹部に報告されたと回答。一方、AIガバナンスのポリシーやフレームワークを改訂した企業はわずか40%にとどまっている。
IBMがEMEA地域の幹部を対象に実施したこの調査は、AIの利用が企業全体に拡大する中で、AIガバナンスの導入と運用における課題を浮き彫りにしている。
調査結果は、多くの企業でAIインシデントが経営層にまでエスカレートしているにもかかわらず、それに対応するガバナンス体制の整備が追いついていない現状を示唆している。IBMは、この乖離が、企業のAI導入におけるリスク管理の不十分さにつながる可能性があると指摘。企業はAIモデルの透明性、説明責任、公平性を確保するための明確なポリシーと責任体制を確立する必要があると提言した。
具体的には、AIガバナンスのフレームワークを導入している企業は過半数に達しているものの、その実効性には課題が見られる。また、AI関連のインシデントが発生した際に、その根本原因を特定し、将来の発生を防ぐための具体的な対策を講じている企業はまだ少ない状況だという。IBMは、このギャップを埋めるためには、経営層がAIガバナンスを経営戦略の不可欠な要素として捉え、継続的に改善していく姿勢が重要であると強調した。
IBMはまた、AI分野における一連の発表を行っている。10月6日(現地時間)には、企業が機密性の高いコードやデータ、ワークフローを外部インフラに移動させることなくAIを活用したソフトウェア開発とモダナイゼーションを進めるための、自己ホスト型デプロイメント「IBM Bob」を発表した。これは、企業がAIの主権とガバナンスを強化し、オンプレミス環境でのAI導入を促進することを支援するもので、特に厳しい規制要件を持つ業界からのニーズに応える狙いがある。
さらに、9月30日(現地時間)に発表された別の調査では、AIが企業全体に拡大するにつれて、最高財務責任者(CFO)がその変革において拡大した役割を担っていると報告された。同調査によると、回答したCFOのほとんどが、その役割がエンタープライズ技術またはAI戦略のリーダーシップにまで拡大したと回答しており、AIが企業の意思決定プロセスと組織構造に与える影響の大きさが浮き彫りになっている。これらの発表は、IBMがAIの導入と運用における企業の課題、特にガバナンス、セキュリティ、そして既存のインフラ上での展開に焦点を当てていることを示している。
参考: newsroom.ibm.com (アーカイブ) — 2026年10月14日 09:00 (JST)