Emilio Ferrara氏は10月9日(現地時間)、人工知能(AI)を用いてコミック研究を飛躍的に規模化するための新しいフレームワーク「PAGE」を提案する論文を発表した。このフレームワークは、数十万ページに及ぶコミックの視覚的記録全体を自動的に解析することで、個別の作品分析に依存してきた従来のコミック研究の方法論に変革をもたらすことを目指している。同氏は論文中で、米国のコミックと日本の漫画を対象とした3つの実証研究を紹介している。

PAGEフレームワークは、スキャンされたコミックの各ページをパネル、テキスト、書誌情報に解析する機能を備えている。さらに、人間によるコーディング(記号化)に倣い、ビジョン言語モデル(vision-language model)を用いて各ページにアノテーション(注釈)を付与する。これらのアノテーションは、人間が手作業で行った注釈のサンプルに基づいてその妥当性が検証されており、出版社やジャンルによる影響を制御した推定値により、アーカイブ全体の長期的な変化を説明することが可能となる。

このフレームワークの実証研究として、Emilio Ferrara氏は合計3つの研究を実施した。対象は1938年から1956年までに刊行された3,929冊のAmerican comic books(アメリカン・コミック・ブックス)と、87巻のJapanese manga(日本の漫画)である。

1つ目の研究では、テキスト検索と視覚的読み取りを組み合わせることで、マスメディアが政治権力をどのように描写していたかを解明した。2つ目の研究では、業界全体のページにおける視覚的形態を測定し、個々のアーティストの筆致を特定した。3つ目の研究では、人間によるアノテーションとの比較を通じて、American comic booksとJapanese mangaという異なる2つのコミック伝統において、誰が話者となっているかを追跡調査した。

PAGEフレームワークは研究目的を超え、広範な応用が可能とされている。例えば、描かれた内容に基づいたアーカイブの検索、視覚障害者や弱視の読者へのコミック提供、脆弱なコレクションの保存、そしてクレジットされていないアーティストへの功績付与などが挙げられる。この研究は、人工知能がコミックメディアの研究、保存、普及を強化する新たな研究アジェンダを提示している。


参考: arXiv cs.AI — 2026年10月10日 01:49 (JST)

原文ハイライト

"Studying Comics at Scale with Artificial Intelligence: The PAGE Framework"

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