Mintz.comは2026年7月8日(現地時間)、米国におけるAI政策が連邦政府、連邦議会、そして州レベルで加速していると報じた。ホワイトハウスは大統領令を通じ先端AI展開と国家安全保障分野でのAI導入を推進。連邦議会では初の包括的なAIガバナンス法案の協議草案が示され、複数の関連法案が審議されている。一部の州では独自のAI規制も導入され、AI開発における法的枠組みの複雑化が指摘されている。

米国では、ホワイトハウスが大統領令や覚書を通じて、先端AIモデルの展開および国家安全保障分野でのAI導入を推進している。連邦議会では包括的なガバナンス法案の草案が提示され、並行して複数のAI関連法案が審議されている。また、一部の州は独自の規制を導入し、AI開発における法的枠組みの複雑化が進んでいる。

ホワイトハウスは2026年6月以降、先端AIモデルの展開に関して複数の大統領令および覚書を発表している。2026年6月2日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領はExecutive Order 14409に署名し、連邦機関に対し先端AIモデルのセキュアな展開に関する枠組みを確立するよう指示した。この大統領令は、政府情報システムのサイバー防御強化、AI開発者と政府間の自主的な事前評価枠組みの構築、AIを悪用したサイバー犯罪への取り締まり強化を柱とする。特に、主要インフラ運営者向けのサイバーセキュリティ指令や、機密化されたベンチマークに基づくcovered frontier modelsの定義が含まれる。モデルのリリース前最大30日間の政府によるアクセスを可能にする自主的枠組みも提示された。

続いて2026年6月5日には、国家安全保障大統領覚書「NSPM-11」がホワイトハウスから発表された。これは国家安全保障分野におけるAI導入の責任ある加速を指示し、情報収集および戦闘領域でのAI活用を推進する。ベンダーの多様化、高セキュリティコンピューティング施設の構築、非政府専門家によるAI国家安全保障戦略予備軍の設立などが含まれる。また、ベンダーの契約説明責任を強化し、政権の方針と矛盾する行為を繰り返す企業との契約解除を指示している。

連邦議会では、2026年6月4日、下院議員のジェイ・オーバーノルテ(Jay Obernolte)氏とロリ・トラハン(Lori Trahan)氏が、Great American Artificial Intelligence Act(GAAIA)の超党派による協議草案を発表した。これは議会で提案された初の包括的な連邦AIガバナンス枠組みであり、透明性義務、第三者監査、および州のAI開発関連法に対する3年間の連邦法先占を提案している。また、下院科学・宇宙・技術委員会では、研究アクセス、サイバーセキュリティ、労働力開発、透明性、データセンターのエネルギー基準にわたる10本の超党派AI法案が一括で審議を進めた。さらに、上院ではAI生成コンテンツの開示を義務付ける超党派法案AI Labeling Actも提出されている。

州レベルの動きとして、イリノイ州ではArtificial Intelligence Safety Measures Act(S.B. 315)が可決された。これは、先端AIモデルに対する年間独立第三者監査を州として初めて義務付けるもので、業界横断的な組織が対応すべき州の義務事項の拡大を示している。

これらの連邦・州レベルの規制の潮流は、AI開発者に対して複雑なコンプライアンス要件と潜在的な運用コストの増大をもたらす。GAAIAが提案する連邦法の3年間先占条項は、イリノイ州のような独自規制との間で構造的な緊張を生む可能性がある。AI開発企業や研究機関は、連邦政府、連邦議会、そして各州の動きを注意深く監視し、多様な法的義務への対応を迫られる。この多層的な規制環境は、AI技術の発展と市場導入の速度、および国際的な標準化の動向にも影響を与える可能性を秘めている。


参考: mintz.com — 2026年7月8日 21:00 (JST)

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