サイモン・ウィリソンズ・ウェブログは5月22日(現地時間)、メモリ不足が今後数年間にわたり消費者向け電子製品の価格を大幅に押し上げる見込みであると報じた。デビッド・オクス氏による詳細な分析では、この価格上昇の主因は、AIデータセンターにおける高帯域幅メモリ(HBM)の需要急増にあると指摘されている。HBMの高い収益性と旺盛な需要が、広範な消費者向けデバイスのRAM生産を制約する主要因となっている。
メモリチップの製造業界は現在、主要3社に生産能力が集中しており、ウェハの処理能力は固定されたままである。この固定されたウェハ容量は、デスクトップパソコンやサーバーで用いられるDDRメモリ、携帯電話やその他の低エネルギー消費デバイス向けのLPDDRメモリ、そして特に高性能なGPUと組み合わせて使用されるHBM(高帯域幅メモリ)に配分されている。つい最近まで、HBMに対するウェハ配分は全体のわずか2%に過ぎなかった。
しかし、人工知能(AI)データセンターの急速な成長に伴い、HBMの需要は爆発的に増加している。その結果、HBMへのウェハ配分は2026年末までに20%という大幅な割合にまで達すると予想されている。デビッド・オクス氏の分析によれば、HBMの1ギガバイトは、同容量のDDRまたはLPDDRに比べて3倍以上のウェハ容量を消費するという。これは、HBMがより多くのシリコン資源を必要とすることを意味し、全体のメモリ供給バランスに大きな影響を与えている。
メモリメーカーは過去の経験、特に競合他社の過剰な製造能力拡大とその後の市場調整による消滅から学んできた。そのため、彼らは市場に供給過多を引き起こすよりも、常に需要に対してやや不足気味に生産計画を立てる傾向にある。この慎重な姿勢が、現在のHBMの強い需要と高収益性が続く限り、HBM以外のメモリ、すなわち消費者向けデバイスに搭載されるRAMの生産を数年間にわたって制約すると見られている。
この供給制約は、すでに市場に具体的な影響を及ぼし始めている。特に顕著なのは、価格が100ドル未満のスマートフォン市場であり、アフリカや南アジアといった新興市場においてその影響が強く報じられている。これらの地域では、手頃な価格のデバイスが不可欠であり、メモリ価格の上昇は消費者にとって直接的な負担となる。この傾向は、将来的にはより広範囲な消費者向け電子製品、例えばスマートテレビ、タブレット、その他のIoTデバイスにも波及し、最終的な製品価格の上昇につながる可能性が高いと業界アナリストは警鐘を鳴らしている。メモリ供給の制約は、今後数年間の電子製品市場の動向を左右する重要な要因となるだろう。
参考: Simon Willison’s Weblog (アーカイブ) — 2026年5月23日 07:01 (JST)