Notionの製品責任者であるマックス・シューニング (Max Schoening) 氏は2026年5月3日(現地時間)、Lenny's Newsletterのポッドキャストで、AI時代においては特定のスキルの培養よりも、主体性 (agency) を育むことこそが重要であるとの見解を表明しました。同氏は、特にデザイナーやプロダクトマネージャー (PM) がAIテクノロジーを最大限に活用し、新たな価値を創出するためには、この主体性こそが不可欠な要素であると強調しました。

マックス・シューニング氏は、自身の豊富なキャリア経験に基づき、AI時代における主体性の価値を力説しました。同氏はかつてGoogleでプロダクトマネージャーを務め、Herokuでデザインを担当。その後、GitHubではデザイン担当副社長(VP of Design)として組織を率いる傍ら、非常勤エンジニアとしても活動した多岐にわたる経歴を有しています。また、2度にわたる起業経験を通じて、自ら課題を設定し、解決策を創り出す能力を培ってきたと述べています。

ポッドキャストの議論では、デザイナーとプロダクトマネージャーがAIを組織や製品開発にどのように取り入れ、最大限の効果を引き出すかという点に焦点が当てられました。シューニング氏は、成功を収める人々がそうでない人々と一線を画すのは、特定の技術的スキルではなく、自律的に行動し、状況を切り開く「主体性」であると明言しました。AIが多くの定型タスクや初期段階の作業を自動化し、プロジェクトの最初の10%が実質的に無料になったと表現される現代において、この主体性はプロジェクトの方向性を決定し、真のイノベーションを推進するための原動力となります。これにより、チームはより複雑な課題解決や創造的な活動に集中できるようになる一方で、AIを使いこなす側の人間の意欲と行動力がこれまで以上に問われることになります。

さらに同氏は、優れた製品が持つ「タイニーコア」理論を展開しました。これは、製品の中核をなすごく小さな、しかし革命的なアイデアや機能が、その製品全体の価値を決定するという考え方です。例えば、iPhoneのマルチタッチインターフェース、GitHubのプルリクエスト機能、Notionの柔軟なブロック構造、Dropboxのシームレスなメニューバーアイコンなどがその典型例として挙げられました。これらの「タイニーコア」は、ユーザー体験を根本から変え、広範な影響をもたらしました。AI時代においても、表面的な機能追加だけでなく、ユーザーの課題を本質的に解決する「タイニーコア」を発見し、それを具現化する能力が求められています。

シューニング氏はまた、現代社会においてソフトウェアの量が爆発的に増加しているにもかかわらず、その品質が必ずしも向上しているわけではない現状にも言及しました。この「量と品質のギャップ」こそが、新たな市場機会を生み出す温床となっていると指摘します。AIを活用することで、これまで不可能だったレベルでの品質管理や、パーソナライズされた体験の提供、あるいは全く新しい種類のソフトウェアの創造が可能になります。このギャップを認識し、AIの力を借りて独自の解決策を提示できる企業や個人こそが、次世代の競争をリードしていくことになるでしょう。デザイナーやPMは、単にAIツールを操作するだけでなく、自らの主体性を持ってこのギャップに挑み、ユーザーにとって真に価値のある製品を生み出すことが求められています。


参考: Lenny’s Newsletter — 2026年4月26日 21:31 (JST)

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