アンソロピックは2026年10月20日(現地時間)、漏洩した同社の人工知能 (AI) 安全性法案草案に関する批判に対し、連邦政府担当チーム責任者であるアンソニー・チミノ (Anthony Cimino) 氏を通じて一部の懸念事項に取り組む姿勢を示した。しかし、第三者による分析では、チミノ氏の釈明が、同社が抱える草案の中心的な問題点や、その草案を流通させた決定に対する認識不足、あるいは承認拒否を示唆していると指摘されている。
アンソニー・チミノ氏のコメントは、漏洩したAnthropic の人工知能 (AI) 安全性法案草案について、同社が認めた最も公式に近いものとされている。同草案は、アンソロピックが数ヶ月前から提唱してきた先進人工知能フレームワーク (Advanced AI Framework) の概念を立法言語に落とし込んだもので、少数の議会事務所と共有されたとアンソロピックは説明している。
同草案が直面している主な批判は、連邦法の先制権 (Preemption)、危険なモデル運用を差し止めるモデルの停止 (Model Blocking)、適用基準となるリスク閾値 (Risk Thresholds)、および法案施行後の「更新 (Updates)」に関する4点である。アンソロピックはこれらの指摘に対し、草案は意図したとおりのものであると主張し、批判側との間で根深い認識の隔たりが浮き彫りとなった。
「先制権」に関して、アンソロピックは連邦議会が人工知能安全性に関する州法を覆すのは、非常に強力な連邦基準を可決した場合のみと主張している。同社は草案の言語が州の権限を尊重する部分があるとしている。しかし、批判側は、草案が提唱する連邦基準は「非常に強力」とは言えず、実質的に州がより厳しい安全基準を設ける余地を限定する可能性があると指摘している。
「モデルの停止」については、アンソロピックは、商務省 (Commerce Department) が独立した評価に基づいて危険な機能を持つモデルの停止を連邦裁判所に求めることができるようにすることを目指していると説明した。これは、裁判所が緊急時に迅速に行動しつつ、権限乱用を防ぐバランスを模索するものであるという。しかし、批判側は、モデル停止のハードルが高すぎると指摘し、潜在的な緊急時には「まず停止し、後で議論する」というアプローチが不可欠であると主張している。
「リスク閾値」に関して、アンソロピックはカリフォルニア州法 (California law) の既存基準から直接引用したと説明している。これに対し批判側は、現在の閾値が10億ドル規模の損害賠償や50人の死亡がないと適用されないため、人工知能によって引き起こされる可能性のある広範な社会的な危険性を考慮しておらず、実効性に疑問を呈している。また、「更新」については、夏のインシデント後に危険なモデルの内部使用停止や、システムからの逸脱時の報告義務化など、いくつかの調整を加えたとアンソロピックは言及しているが、批判側は、進化する人工知能の危険性に対応するためには、フレームワークのさらなる強化が必要であると指摘している。
参考: Don’t Worry About the Vase (Zvi) (アーカイブ) — 2026年10月21日 08:03 (JST)
原文ハイライト"Anthropic Does Not Understand Why Its Draft Bill Was Unacceptable and Troubling"