arXiv cs.CRは2026年10月21日(現地時間)、匿名査読における「レビューから投稿論文への紐付け (review-to-submission linkage)」と呼ばれる新たなリスクを特定した研究を公開した。このリスクは、査読者が提出した匿名レビューが、その査読者自身の投稿論文と関連付けられる可能性を指し、査読者の匿名性が著しく低下する危険性が指摘されている。
多くの学術会議が投稿者に対し査読も義務付けている現状において、同一の査読サイクル内で著者と査読者の役割が重複するケースが増加している。この状況が、匿名査読の保護メカニズムを脆弱にする一因となっている。
研究チームは、この紐付けが実際に悪用可能であるかを評価するため、手法「ECHO」を開発した。ECHOは、レビュー、論文、およびリバット(反論)から、技術的専門知識と文章スタイルのシグナルを組み合わせることで、関連性を検出する。この手法は、独自に構築されたグラウンドトゥルースベンチマーク「R2S-Bench」で評価された。
評価の結果、ECHOは査読者自身の投稿論文をTop-1で34.6%のレビューにおいて正しく特定した。Top-5では54.0%、Top-10では63.4%の精度を記録している。これはランダムなランキングにおける結果(Top-1で0.5%、Top-5で2.6%、Top-10で5.3%)と比較して大幅に高い数値である。さらに強力なStage-2 rerankerを導入した場合、ECHOの精度はTop-1で56.4%、Top-10で66.4%まで向上した。
これらの結果は、日常的に公開される査読プロセスの成果物のみを用いることで、レビューと投稿論文の紐付けが実現可能であることを示している。ECHOのコードとR2S-Benchベンチマークは、公開されている。
参考: arXiv cs.CR — 2026年10月21日 13:00 (JST)
原文ハイライト"revealing review-to-submission linkage"