645 Venturesの共同創業者兼マネージングパートナーであるナムディ・オキケ (Nnamdi Okike) 氏は2026年10月13日(現地時間)、次世代のスーパーアプリは、広範なモバイル普及、競合の弱さ、劣悪な金融サービス、そして銀行に対する信頼を損なう金融危機が存在する市場で誕生すると指摘した。同氏は、ナイジェリアでMoniepointが金融システムを革新した事例などを挙げ、信頼性が低い新興市場のニーズに応えるプラットフォームが成功の鍵を握るとの見解を示した。
ナムディ・オキケ氏は、ナイジェリア系アメリカ人としての経験を交え、Moniepointが過去10年間で600万以上のナイジェリア企業を支えるオペレーティングシステムに成長し、年間3000億ドル以上、ナイジェリアのデジタル決済量の39%、対面決済の10件中8件を処理している状況を説明した。
米国では世帯の96%が銀行口座を保有しており、既存の金融システムが信頼されているため、スーパーアプリが普及しなかったとオキケ氏は分析する。一方、新興市場では「信頼」そのものが大きな課題となっており、スーパーアプリの台頭には四つの条件があると同氏は述べている。それは、流通コストを低く抑える高水準のモバイル普及率、既存競合の弱さ、貧弱な既存金融サービス、そして既存金融機関の正当性を失わせるほどの深刻な金融危機である。
これらの条件が揃った市場では、過去に金融危機を経験している国々でスーパーアプリが成功を収めてきた。例えば、1990年のハイパーインフレとそれに続く銀行再編を経たブラジルではNubankが、1993年のルーブル圏崩壊と2007年から2009年の金融危機を経験したカザフスタンではKaspiが、そして1997年のアジア通貨危機で大きな打撃を受けた東南アジアではSea Limitedが、それぞれ金融の空白を埋める形で成長した。
オキケ氏は、カザフスタンのKaspiが人口2000万人のうち約1400万人(人口の約70%)に利用され、ユーザー1人あたり月間平均77回の取引を行い、年間90億ドルの収益と56%のEBITDAマージン、170億ドル以上の企業価値を持つことを紹介した。同氏は、人口規模ではなく「支出の深さ」が成長の上限を決定するとし、Nubankが米国Chimeの14倍の顧客数、約7倍の収益、6倍以上の時価総額を持つことを比較例として挙げた。Nubankは3100万人以上のこれまで銀行口座を持たなかったブラジル人を金融システムに組み込んでいる。
上記の四つの条件を考慮すると、バングラデシュ、エジプト、ベトナム、パキスタンが次のスーパーアプリが生まれる可能性のある市場として注目される。ただし、危機は既存勢力の正当性を失わせるほど深刻でありつつ、通貨や決済基盤は機能しているという境界条件が必要となる。
過去には、2001年に南アフリカのメディア企業NaspersがTencentに約3400万ドルで46.5%の株式を取得し、後に1000億ドル以上の価値となり、史上最高のテクノロジー投資の一つとなった。Sequoia CapitalによるNubankへの初期投資も、IPO時には70億ドルの価値をつけた。オキケ氏は、第二世代のスーパーアプリが現在規模を拡大しており、第三世代はステーブルコインやAI技術に基づいて、アビジャン、ブエノスアイレス、カラチ、ラゴスなどの都市で構築され、Tosin Eniolorundaのような創業者が新興市場経済の成長において重要な役割を果たすと予測している。
ナムディ・オキケ氏は2014年に645 Venturesを共同設立し、フィンテックとエンタープライズテクノロジーに焦点を当てた投資戦略、ガバナンス、コンプライアンスを統括している。同氏はRentSpree、Setpoint、Sequence、Solidus Labs、Order、Uptiqなどの企業に投資し、過去にはInsight Partnersで19社に投資し、9件のイグジットで90億ドル以上のイグジット価値を実現した経歴を持つ。
参考: Crunchbase News (アーカイブ) — 2026年10月13日 20:00 (JST)
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