arXivは2026年9月29日(現地時間)、Guang Yang氏らが、ゲノムのmixture-of-experts (MoE) モデルをウェブブラウザ上でプライベートに推論するシステム「GenomeOcean Anywhere」に関する研究論文を発表したと報じた。この研究は、個々のデバイスにプライベートなDNA配列を公開することなく、150億パラメータのゲノムMoEモデルをボランティアのウェブブラウザ上で実行する可能性を検証している。

本システムでは、信頼されたコーディネーターがアテンションとルーティングを処理する一方、ブラウザワーカーが手書きのWebGPUカーネルを通じて各エキスパートのフィードフォワードネットワークを実行する。

エキスパートの入力は、リアルバリューラグランジュ符号化計算(real-valued Lagrange coded computing)によって保護される。これにより、各ワーカーはGaussian-padded shareのみを受け取り、エキスパートの線形写像を計算する。コーディネーターは、3つのワーカーのうち任意の2つから情報をデコードする仕組みが採用されている。

「GenomeOcean-MoE」(8エキスパート、top-2ルーティング、24層)での検証では、ブラウザ経由の経路がネイティブのthis http URLと、全ての量子化レベルで一致した。分散経路はBF16の数値ノイズフロア(KL 0.0036 nats per token)に留まり、遅延モデルはエミュレートされた広域リンク下でデコード時間を中央値で0.74%以内で予測した。

研究では、平文のエキスパート入力ではプライバシーが確保できないことが示された。これは、単一ワーカーが300個の順序付けされていないトークンから92%の精度でソースゲノムを特定できることを意味する。これに対し、符号化されたエキスパートを用いることで、適応型攻撃者による情報回復を抑え、Chromeブラウザ上での符号化デコードはトークンあたり220ミリ秒から376ミリ秒で動作することが確認された。また、ワーカーが失敗した場合でも、レプリカなしで処理を継続可能としている。


参考: arXiv cs.CR (アーカイブ) — 2026年9月30日 13:00 (JST)

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